購買行動は、購入者が商品ページにアクセスするずっと前から始まっていることがあります。家電の故障、同僚からの勧め、生活環境の変化などが探すきっかけになることもあります。そこから人は、会話や検索、店頭での確認、あるいは何も行動しない期間を行き来しながら、一度は見送った選択肢に戻ることもあります。
購買プロセス(Path to Purchase)とは、そうした一連の出来事や意思決定を捉えたものです。検討された代替案や結果に影響を与えた状況を含め、ニーズがどのように購買につながるのかをリサーチャーが理解するのに役立ちます。イプソスによる購買プロセス調査の解説では、さまざまな段階や接点における購入者の意思決定を中心に据えて調査を進めています。
チャネルをまたいで意思決定を追う
ウェブサイトへの最初の訪問がプロセスの始まりだと決めつけるのではなく、そもそもの「きっかけ」から掘り下げてみましょう。購入者が何を解決しようとしていたのか、事前にどんな知識を持っていたのか、他に誰が関わっていたのかを問いかけます。最近の購買体験からは具体的な話を聞き出すことができますし、現在進行形で検討している最中に調査を行えば、過去の記憶に頼りすぎるリスクを減らせます。
例えば、在宅勤務用の機器を購入するケースを考えてみましょう。勤務先からのアドバイス、実店舗への立ち寄り、そして最終的に別のオンラインショップでの注文といった流れが考えられます。決済履歴に記録されるのはその最後の一コマにすぎず、それ以前の接点がそれぞれどれほど影響したかを明らかにすることはできません。
インタビューを行えば体験を振り返って再構成できますし、日記調査(ダイアリー調査)を活用すればリアルタイムな動きを捉えられます。適切に収集された観察データがあれば、行動履歴がさらに詳細な情報を補ってくれます。ただし、どの手法にも限界はあります。記憶は出来事を単純化しがちですし、日記には記録の手間がかかり、デジタル上の記録だけであらゆるデバイスやオフラインの接点を網羅することは困難です。
異なる購買行動の違いを埋もれさせない
普段のルーティンで行うリピート購入なら能動的な比較検討はほとんど必要ないかもしれませんが、不慣れな買い物や高額な買い物では徹底的な比較が欠かせません。また、リサーチをする人と、実際にお金を支払う人や製品を使う人が異なる場合もあります。図として見栄えが良いからといって、こうした多様な体験を無理やりひとつの直線的なプロセスにまとめないようにしましょう。
意味のある状況やグループごとに得られた事実を整理し、共通している点と分岐する点を明らかにします。カスタマージャーニーマップはそうした知見を共有するのに役立ちますが、実際に観察された事実と仮説をしっかり区別しておくことが前提です。市場の背景を理解する手がかりになるなら、検討の停滞、探すのを途中でやめたケース、購入しないという判断に至ったケースなども含めましょう。
調査結果を具体的なアクションに活かす
調査を進めると、説明が不足している部分や、ユーザーが比較に苦労しているポイント、情報がうまく引き継がれていない接点などが見えてくるはずです。こうした発見は、チームがさらに深掘りすべき課題を特定したり、改善に向けたテストを検討したりするための具体的な手がかりになります。
購買プロセス調査を行ったからといって、個々のマーケティングチャネルの貢献度を機械的に特定できるわけではありません。購入前に広告に接触したという事実と、その広告が意思決定を左右したかどうかは別問題です。その違いを意識しつつ、購買体験全体をより役立つもの、一貫性のあるもの、そして信頼できるものにするためのヒントとして、調査から得られた全体像を活用していきましょう。
