評価の高い機能のリストを並べても、チームの議論は振り出しに戻りがちです。顧客にとってはどれも便利に見える一方、予算で対応できるのは全体のほんの一部に過ぎません。そこでMaxDiff(マキシマム・ディファレンス・スケーリング)は、より踏み込んだ問いを投げかけます。「提示された選択肢の中で、最も重要(価値がある)なものと、最もそうでないものはどれですか?」
回答者は、長いリストから抽出されたいくつかのセットに対してこの質問に答えていきます。その選択パターンを分析することで、相対的な好ましさ(選好度)を推計します。このような一般的な項目比較の形式では「ベスト・ワースト・スケーリング」とも呼ばれ、詳細はSawtooth Softwareによる手法比較でも解説されています。一度にすべてを順位付けするのが難しいベネフィットやメッセージ、機能の優先順位づけによく使われます。
「ベスト」の定義を決める
評価の基準は、調査全体を通じて明確でなければなりません。「サービス事業者を選ぶ際に最も重視すること」は、「最も魅力的なこと」や「最も信頼できること」とは異なります。これらの判断基準を1つの設問に混ぜてしまうと、得られたスコアの解釈が難しくなってしまいます。
また、項目同士が比較可能であることも重要です。たとえばアカウント管理の優先度を調べる場合、「請求書のわかりやすさ」「迅速な返金」「権限管理のしやすさ」などが挙げられます。ここに「信頼できるサービス」を加えてしまうと、具体的な機能と抽象的な期待感が混ざり、比較から得られる示唆が薄れてしまいます。セットを作成する前に、各項目の言葉遣いや範囲をしっかり検討しておきましょう。
調査全体を通じて各項目が適切に提示され、バランスよく結びつくよう、計画的な実験計画法(デザイン)を用います。すべての回答者がすべてのペアを見る必要はありませんが、セットを大雑把に選んでしまうと得られる情報に偏りが生じます。1つの小さなセットから選ぶのは簡単でも、何度も繰り返すと負担になるため、タスク全体を事前にパイロットテストしておきましょう。
ランキングだけでは見えてこないもの
スコアが比較的低いからといって、その項目が求められていないとは限りません。提示された他の項目と比べて優先度が低かっただけ、あるいは回答者にとって「あって当たり前」の基本要件と捉えられている可能性もあります。リスト全体の構成はもちろん、回答者層の属性も影響します。全体の一律なランキングよりも、セグメントごとの違いを見るほうが有用な場合も少なくありません。
算出方法に合わせて数値を解釈することも大切です。分析によって、選好シェアに再スケールして提示されることもあれば、別の効用値スケールが使われることもあります。スコアが20だからといって、10の項目の2倍重要であるとは限りません。比率を事実として提示する前に、その分析モデルでどこまでの比較が可能なのかを確認しておきましょう。
MaxDiffは機能の優先順位づけに役立ちますが、開発工数や依存関係、根本的な課題を示すエビデンスも合わせて検討する必要があります。また、異なる価格帯で機能の組み合わせを判断したい場合は、コンジョイント分析のほうが適しているかもしれません。MaxDiffはあくまで個別の項目を比較するものであり、それ単体でユーザーが最終的にどのパッケージを購入するかまでを示すものではありません。
