容量をもっと増やし、サポートを手厚くし、価格を下げてほしいかと顧客に尋ねれば、誰もが「イエス」と答えるでしょう。本当に興味深い意思決定が始まるのは、その3つすべてを手に入れられないときです。コンジョイント分析は、そうしたトレードオフを体系的に作り出すことで、製品やサービスのどの要素が選ばれる理由になっているのかをリサーチャーが推定できるようにします。
これは、複数の「属性」と「水準」で構成された製品プロフィールをユーザーに評価してもらう一連の手法です。たとえばソフトウェアプランなら、属性には容量、サポート、価格などが含まれ、水準は各属性の具体的な選択肢を指します。選択型コンジョイント(CBC)では、参加者は提示されたプロフィールのなかから繰り返し選択を行います。ほかにも評価スコアやランキングを用いる形式があり、その違いについてはSawtooth Softwareによるコンジョイント手法の比較で詳しく解説されています。
現実にあり得る選択肢を組み立てる
モデルから何が学べるかは、調査設計によって決まります。属性は、回答者を圧倒してしまわない程度に意思決定の要素を過不足なくカバーする必要があり、その水準は理解しやすく、現実味のあるものでなければなりません。どれほど統計的に美しく設計されていても、回答者が実際の利用シーンをイメージできない選択肢ばかりでは意味がありません。
たとえば、配達時間帯、受け取り方法、価格を変えた配送サービスの調査を考えてみましょう。もし常に最安値が最も遅い配達とセットになっていたら、分析時にそれぞれの影響を切り分けるのが難しくなるかもしれません。適切に練られた実験計画法なら、関連する効果を推定できるように組み合わせを変化させつつ、現実にはあり得ない組み合わせを排除できます。専用の設計・分析ツールは役に立ちますが、妥当な属性をリサーチャーの代わりに選んでくれるわけではありません。
インタビューやパイロット調査は事前の準備として有効です。見落としていた検討項目や曖昧な言い回し、回答者に過度な負担を強いるタスクなどに気づくきっかけになります。
モデルはあくまで「モデル」として捉える
分析では、各属性水準の効用値(パートワースとも呼ばれます)を推定します。これは適合させたモデル内での相対的な選好を表すものです。また、属性の重要度はテストした水準の幅にも左右されます。価格差が極端に大きい調査では、狭い範囲で比較した調査よりも価格の影響が大きく見えやすくなります。
シミュレーションを使えば、競合も含めた提案内容の間で選択がどう変化するかを探ることができます。ただし、その結果はあくまで設定した選択肢、サンプル、前提条件に依存します。シミュレーション上の選好シェアは、そのまま市場シェアの予測になるわけではありません。認知度、流通、入手しやすさ、乗り換えのハードルなど、すべてが実際の購買に影響を与えます。
支払い意欲額(WTP)を扱う場合は、効用値を金額に換算する際に特に注意が必要です。結果は価格モデルや競合状況に左右されます。コンジョイント分析はトレードオフを可視化できる優れた手法ですが、人工的に作られた意思決定への反応を見ていることに変わりはありません。モデルが示した示唆を検証するには、その後の実際の購買データと照らし合わせることが依然として重要です。
