インターフェースが見た目にはすっきりしていても、ユーザーには大きな負担を強いていることがあります。別々のページで価格を見比べたり、コードを覚えたり、不慣れなラベルの意味を解釈したりすることは、すべて認知的負荷がかかります。認知的負荷とはそうした負担に関わるもので、タスクやその見せ方が、本人の知識や状況とどう影響し合うかまでを含みます。
この概念は学習や作業記憶(ワーキングメモリ)の研究に由来しますが、プロダクト開発の現場では、頭を使う負担全般を指してより広く使われることがよくあります。そうした広い捉え方をする場合でも、体験を難しくしている要因を具体的に特定できる解像度を保つことが大切です。
インターフェースが記憶に依存させている部分を探す
3つのプランの詳細をそれぞれ別画面で開きながら覚えなければならない場合、比較作業は判断だけでなく記憶力にも頼ることになります。画面上の情報量は増えるとしても、関連する相違点をひとまとめにして見せるほうが負担を減らせる場合があります。
ニールセン・ノーマン・グループの「認識と再生」に関するガイドでは、選択肢や情報を画面上に見える状態にしておくことで、記憶から引き出す必要性をいかに減らせるかが解説されています。だからといって、あらゆる詳細を一度に表示すべきというわけではありません。重要なのは、いま下そうとしている判断にどの情報が必要で、求められたときにどこで見つかるかです。
たとえば経費精算フォームなら、見た目をさらに削ぎ落とすよりも、金額と通貨を常に確認できるサマリーを表示しておくほうが役立ちます。事実確認のために前のステップへ戻る手間がなくなるからです。
タスク本来の複雑さと、避けられる難しさを切り分ける
判断そのものが本質的に難しいタスクもあります。保険のプラン選びや権限の設定、契約書の確認などは、慎重な検討を要するものです。必要な説明を省けば画面自体はコンパクトになりますが、判断が難しくなったり、十分な情報がないまま選ばせることになりかねません。
なじみのない専門用語、適切にグループ化されていない情報、作業の中断、結果の分かりにくさがないかを調べましょう。同じ画面を見ても、その人のメンタルモデルによって解釈は異なります。初めて使う人には意味不明なコードに見えるものが、熟練者には便利なショートカットに見えることもあるのです。
タスク分析を使って手順や依存関係を把握したうえで、特定の負荷の原因に対処する改善案をテストしましょう。クリック数やテキスト量が少なければ最も良い体験になる、と思い込まないことが大切です。
見た目だけで判断せず、根拠を集める
ユーザビリティ調査では、前の画面への戻り、現在地の見失い、繰り返される比較、エラー、説明を求める質問などに注目してください。参加者が何を解決しようとしていたのかを尋ねるのも効果的です。こうした行動は使いにくさの兆候にはなりますが、それ単体で認知的負荷をそのまま測れるわけではありません。
判断の裏付けに測定が必要な場合は、観察結果を適切な自己申告データやパフォーマンス指標と組み合わせ、ツールへの慣れやタスクの違いも考慮しましょう。操作が遅い参加者も、つまずいているのではなく慎重に判断しているだけかもしれません。価値ある気づきとは、デザインが生み出している不要な負担を解明し、提案する変更によってその負担がどう軽減されるかを示すことです。
