ゲーミフィケーションとは、リサーチのアクティビティにポイント、チャレンジ、リワード、ストーリーといった要素を取り入れる手法です。参加をもっと楽しんでもらったり、継続的な回答を促したりすることが狙いですが、回答する側の状況や文脈そのものも変化させるため、得られるエビデンスへの影響をしっかり見極める必要があります。
なお、インタラクティブなUIだからといって、それだけでゲーミフィケーションと呼べるわけではありません。よく練られたフォーム設計ならゲーム要素がなくても回答の負担を減らせますし、下手にゲーム要素を加えると、かえって手間が増えてしまうこともあります。
そのリワードが促す行動を見極める
たとえば日記調査を例に挙げると、1回の記録ごとにポイントを付与すれば、参加率は上がるかもしれません。しかしその一方で、特に報告することがないのに無理に記録を作ったり、体験を丁寧に振り返ることよりもタスクを完了することばかりに気を取られたりするおそれもあります。
経験サンプリング法におけるゲーム型リワードに関する2024年の実験では、検証された手法において、参加度合いと回答の信頼性との間にトレードオフが見られました。これがゲーミフィケーションのあらゆる用途に当てはまるわけではありませんが、完了率だけを成功の指標にしては不十分である理由を浮き彫りにしています。
期待するメリットを明確にし、参加率だけでなくデータの質も合わせて検証しましょう。見るべきポイントは調査内容によって異なりますが、無回答の有無、質問の理解度、一貫性、具体的な詳細の多さ、適切な基準との比較などが挙げられます。
タスク本来の趣旨を損なわない
「企業のCEOになったつもりで答えてください」というプロンプトは、自分自身の購買体験を尋ねた場合とは異なる回答を生み出します。アイデア出しには効果的かもしれませんが、本来測定したいものと同じデータが得られると考えてはいけません。
同様に、ランキングを競わせるような設計は、回答スピードの偏重や「体裁の良い答え」を誘発しかねません。想定するターゲット層はもちろん、操作に不慣れな人やアクセシビリティの配慮が必要な人たちも含めてパイロットテストを行いましょう。ゲーム要素の根底にあるアンケート設計の重要性は変わりません。
体験全体を比較・検証する
フォーマットの変更が調査結果に影響を与えそうな場合は、適切な代替案と比較し、どのような改善が見られればその手法を採用する価値があるかを明確にしておきましょう。また、その変更によって参加者の属性や、回答される設問に偏りが出ていないかも記録しておく必要があります。
リワードや参加の条件はわかりやすく説明し、ゲーム要素が参加者のプレッシャーにならないよう配慮してください。調査の同意プロセスに沿って、参加者がいつでも中断できる状態にしておくことが大切です。
目的はあくまで、リサーチへのより良い参加体験と精度の高いエビデンスを得ることであり、単に楽しませることではありません。アンケート疲れを軽減するシンプルな工夫で十分課題が解決できるなら、効果の検証が難しい複雑な仕組みをわざわざ導入する理由はほとんどないはずです。
