Webサイトに答えが載っていても、それを探しているユーザーの役に立たないことがあります。利用者が知らない部署名の下に規定が隠れていたり、メニューが内部の業務プロセス順になっていたり、検索結果では同じものを指すのに別の言葉が使われていたりするためです。情報アーキテクチャ(IA)とは、情報を見つけやすく、理解しやすくするための整理、構造化、ラベリングに関わる領域です。
これには、各コンテンツ同士の関係性や、それらを分類するカテゴリ、そしてユーザーがそこにたどり着くまでの導線が含まれます。ナビゲーションはその構造の一部を形にしているに過ぎず、メニューだけで情報アーキテクチャが完結するわけではありません。検索やフィルター、コンテンツ内のリンクもまた、ユーザーが必要な情報にたどり着けるかどうかを左右します。
まずはコンテンツと、ユーザーの問いから始める
新しい階層を描く前に、まず何が存在しているのかを把握しましょう。コンテンツインベントリによってページの一覧や目的、担当者を明確にできます。さらに棚卸し(オーディット)を行えば、重複や不足、すでに役目を終えた情報を見つけ出すことができます。頭の中で考えたきれいな構造は、実際のコンテンツをあてはめた瞬間に破綻してしまうことがよくあります。
リサーチでは、ユーザーがどんな疑問を持ってサイトを訪れ、どんな言葉を使うかを把握する必要があります。たとえば架空の大学サイトで、入試課、教務課、学生支援課といった組織別に情報が整理されている一方で、出願者は学費や締切、合格後に何をすべきかを知りたがっているかもしれません。組織ごとの担当領域は裏方として重要ですが、それがサイト上のカテゴリをすべて決定づける必要はありません。
ニールセン・ノーマン・グループによる情報アーキテクチャとナビゲーションの区別は、裏側の関係性と表層の見せ方を切り分けて考えるヒントになります。構造と目に見えるUI要素の双方が問題の原因になっている可能性がある場合は、個別に検証すると同時に、全体としても見直す必要があります。
複数の有効なルートを用意する
同じ情報にたどり着くとしても、ユーザーが持つ事前の知識は人それぞれです。コース名を知っている人には五十音順のリストが便利ですし、分野や取得学位、通学スタイルなどのフィルターは別の目的を持った人を後押しします。また、文脈に応じた関連リンクは、階層の異なる場所にある情報同士をつなぐ役割を果たします。
そうしたルートには共通の定義が必要です。たとえば「パートタイム」という言葉の定義が学部や部署によって異なっていれば、そのラベルでフィルターを用意しても、見た目は整っていても根本的な混乱は解消されません。だからこそ、目に見えるナビゲーションだけでなく、コンテンツモデルやラベリング、担当範囲の設計が大切になります。
メニューの項目数やクリック数に、「これさえ守れば良い」という絶対的な正解はありません。曖昧な選択肢が並ぶ短いルートよりも、ラベルが明確で迷わない長いルートのほうがスムーズなこともあります。ユーザーが迫られる判断と、その時点で提示されている情報を見極めることが重要です。
リサーチを通して想定した関係性を検証する
カードソーティングを行えば、参加者が一連のトピックをどのようにグループ化し、それにどんな名前をつけるのかが見えてきます。これは構造設計のインプットになるものであり、サイトの最終的な階層がそのまま自動的に出来上がるわけではありません。
ツリーテストを使えば、テキストのみの階層構造の中でユーザーが目的地を見つけられるかを検証できます。ファーストクリックテストは画面上でどこを最初にクリックするかを調べ、ユーザビリティテストではナビゲーション、検索、コンテンツを含む体験全体を追います。どれも同じ確認作業として扱うのではなく、何を明らかにしたいかに応じて手法を選びましょう。
検索ログからは、ユーザーの語彙や解決されていない疑問が見えてきますが、検索されたこと自体が必ずしもナビゲーションの失敗を意味するわけではありません。最初から検索を使うのを好む人もいます。なぜ検索したのかを結論づける前に、クエリや検索結果、その後の行動までしっかりと確認しましょう。
一貫性を保ち続ける仕組みをつくる
新しいコンテンツが追加されるたび、設計した構造は試されることになります。情報の配置を誰が決めるのか、表記ルールをどう維持するのか、重複したページや古いページをいつ見直すのかを定めておきましょう。そうでなければ、個々の判断で公開が重ねられるうちに、リニューアルで解消したはずの混乱が再び生まれてしまいます。
先ほどの大学の例で言えば、持続的な改善とはメニューを変えることだけでなく、用語の統一や出願案内の責任体制を明確にすることも含まれます。情報アーキテクチャが成功したと言えるのは、訪れた人が情報をスムーズに理解でき、組織の規模が拡大してもその分かりやすさを維持し続けられるときです。
