プロダクトツアーが最後まで完了しても、見ている本人は次に何をすべきか分からないまま、ということがあります。すべての機能が紹介され、ツールチップをすべて閉じ終えても、そもそもプロダクトを開いた本来の目的は手つかずのままです。これこそが、「インターフェースの説明」と「ユーザーが実際に動き出せるよう手助けすること」の間にあるギャップです。
ユーザーオンボーディングとは、新しいユーザーが必要な知識を得て、初期設定を済ませ、プロダクトの価値を実感し始めるまでの一連の体験を指します。画面上の案内やメッセージだけでなく、招待機能、データのインポート、同僚からのサポート、あるいはカスタマーサポートとのやり取りなども含まれます。その形は、ユーザーが何を達成したいのか、そして利用開始から最初の成果を得るまでの間にどんな障壁があるのかによって変わってきます。
まずやるべき仕事から考え、その後に何を説明するかを決める
たとえば経費精算ツールの場合、一般ユーザーにとっての「スタート」は最初の領収書を提出することかもしれません。一方で同じツールの管理者にとっては、承認ポリシーを設定し、従業員を招待することになります。この2人に同じチェックリストを提示しても、目指す状態がまるで異なるため混乱を招くだけです。
インターフェースの外にある前提条件も含め、ユーザーが実際に必要としているステップをリサーチしましょう。ユーザーインタビューを行えば使い始める前の期待値を把握できますし、ユーザビリティテストを実施すれば、初めて使う人がどこで迷い、何を誤解しやすいかが見えてきます。すでにプロダクトに慣れている顧客は初期の疑問を忘れてしまっていることが多いため、まったく知識のない参加者でテストすることが重要です。
説明というものは、それを読む理由ができて初めて真価を発揮します。まだ使えない5つの機能を紹介して回るツアーよりも、空の入力フィールドの横に置いた短い入力例のほうが、ずっと役に立つこともあります。とはいえ、ミスが重大なトラブルにつながるプロダクトなどでは、しっかりとしたトレーニングが必要な場合もあります。単に立ち止まるポイントをすべてなくせば体験が良くなる、というわけではありません。
「意味のある進捗」を計測する
Amplitudeによるアクティベーションの解説では、初期体験とユーザーが見出す価値との結びつきが語られています。チームとしては、「意味のある最初のタスクを完了する」といったアクティベーション指標を具体的に定義し、それがその後の継続利用にどうつながっているかを分析していくとよいでしょう。
チェックリストの完了率や滞在時間、ツールチップのクリック率などはオンボーディングの流れを把握するのには役立ちますが、成功そのものを表す指標としては不完全です。プロダクトが直感的だからチュートリアルを飛ばす人もいれば、完了しないと先へ進めないから仕方なく終わらせる人もいます。数値の意味を判断する前に、行動データと実際の観察結果やユーザーの声を照らし合わせてみてください。
オンボーディングには「その先」もあります。久しぶりに戻ってきたユーザー、社内で新しい役割に就いた人、あるいは初めて触る機能に出くわしたときなど、再びサポートが必要になる瞬間は訪れます。そうした場面を想定してデザインしておけば、アカウント作成後の最初の数分間にすべての案内を詰め込むのではなく、必要なときにいつでも頼れるサポートを用意できるようになります。
