問題を最終的に解決してくれたサポート担当者には感謝しつつも、そこに至るまでにかかった時間には不満が残る、といった顧客の感情は珍しくありません。カスタマー・エフォート・スコア(通常はCESと呼ばれます)は、特定の目的を達成するのにどれだけ労力や手間がかかったか(あるいはスムーズだったか)を測る指標です。満足度や解決率と並んで、体験のそうした側面を可視化するのに役立ちます。
CESにはいくつかバリエーションがあり、質問文やスケール(評価尺度)が異なります。「労力・手間」を問う形式では数値が高いほど体験が悪いことを意味する場合もあれば、「簡単さ・スムーズさ」を問う形式では数値が高いほど良い体験を意味する場合もあります。そのため、質問文や採点ルールが分からないCESの数値は、曖昧なものになってしまいます。
評価対象とスケールの方向性を明確にする
問い合わせの解決や返品手続きの完了など、顧客が何を評価しているのかを明確に定義しましょう。目的に合った確立された質問文とスケールを選び、回答の選択肢ラベルも分かりやすいものにします。長期的に追跡する場合は同じバージョンを使い続けるか、変更した際の影響を検証するようにしてください。
Qualtricsによるカスタマー・エフォート・スコアの解説では、特定のやり取りにおける活用法が紹介されています。実務では、平均値や特定の上位カテゴリの割合としてレポートされることがよくあります。すべてのCES結果がそのまま比較可能だと思い込まず、算出方法を明記することが重要です。
たとえば、わかりやすい例として7段階の「簡単さ」スケールにおいて、平均値の5.4と最上位カテゴリの割合とでは、示している要約の意味が異なります。また、どちらの数値も、評価の向きが逆になる5段階の「労力」スケールとは直接比較できません。
顧客が一連のタスクを完了・評価できるタイミングで尋ねる
サポート対応の電話が終了しても、顧客のタスクが完了したとは限りません。設定をやり直したり、別の部署に問い合わせたり、確認連絡を待つ必要があるかもしれません。アンケートが届くタイミングが早すぎると、企業側が後の工程に押しやってしまった「手間」を見落としてしまいます。
目標達成のタイミングに合わせたアンケート送信のトリガーを設定し、一貫性を保ちましょう。体験全体を包括的に把握したいのであれば、問題が解決した場合にだけ尋ねるのは避けてください。誰に案内を送り、誰が回答したか、そして無回答バイアスの可能性についても確認が必要です。
評価の理由について中立的なフォローアップ質問を設ければ、スムーズだった点と難しかった点の両方を引き出すことができます。「何が難しかったか」だけを尋ねると、回答者が特に問題を感じていなかった場合でも、無理に障壁を探させてしまうことになります。
評価の背景にある「実際の負担」を掘り下げる
返品手続きの例で考えると、「簡単さ」のスコアが低かった原因は、ラベルの印刷、発送場所の探索、チャネル間での同じ説明の繰り返しなど、さまざま考えられます。原因によって打つべき対策は異なります。スコアそのものは原因まで特定してくれませんし、顧客が感じた負担感は、単なる所要時間やステップ数とは必ずしも一致しません。
具体的な難しさを把握するには、観察が可能なタスク分析やユーザビリティテストを活用しましょう。再問い合わせの発生率や解決率、関連する成果データと照らし合わせて分析し、「CESを改善するだけでリテンションが向上する」といった根拠のない主張は避けるべきです。
顧客満足度とエフォート(労力)は、尋ねている視点が異なるため、互いに補り合うことができます。レポートは、特定の目的、サンプル、調査条件と常に紐づけて提示しましょう。本当に価値のある成果とは、顧客が強いられた負担の実態と、サービス側が無理なく軽減できるポイントを明確に把握することです。
