あるユーザーがヘルプ記事を開き、答えを見つけて離脱します。別のユーザーも同じページを開きますが、内容が理解できず、同じようにすぐに立ち去ります。ダッシュボード上ではどちらも同じように処理されるかもしれませんが、一方は成功で、もう一方はそうではありません。Webアナリティクスが記録するのは訪問の「痕跡」です。その痕跡を読み解くには、ユーザーが何を目的に訪れたのかを理解する必要があります。
Webアナリティクスは、ページビュー、イベント、セッション、トラフィック流入元、コンバージョンといったデータを通じてWebサイトのアクティビティを測定します。記録されたアクセス全体の傾向を把握し、変化の兆候を捉え、ユーザー行動のどこでつまずきが生じているかを調査するのに役立ちます。
レポートの背景にある「問い」から始める
たとえば料金プランのページなら、「ユーザーが自分に合ったプランを見つけてトライアルを開始できているか」が本質的な問いになるでしょう。ページビューだけではそれに答えられません。より意味のある測定計画を立てるには、関わるアクション、カウントする期間、そしてそれぞれの指標に含まれる母集団を定義する必要があります。
集計単位は常に明確にしておきましょう。1人のユーザーが複数回のセッションを発生させたり、複数のデバイスを使い分けたり、同僚とアカウントを共有したりすることがあります。「ユーザー数」「セッション数」「アカウント数」は同じものを指す言葉ではありません。また、トラッキングの不備、同意管理、広告ブロッカー、プラットフォーム側のモデリングなどもデータの網羅性に影響するため、レポートを「すべての訪問者の完全な記録」と見なすべきではありません。
数値を比較する前に定義を確認する
見慣れた指標名であっても、計算方法が異なる場合があります。たとえばGoogle アナリティクス 4では、直帰率を単なる1ページのみの訪問ではなく、「エンゲージメントのなかったセッション」の割合として定義しています。詳細はGoogleのエンゲージメントと直帰率に関するドキュメントで説明されています。別のプラットフォームや過去のレポートと比較する前に、使用しているツールでの定義や設定を必ず確認してください。
トラッキング仕様の変更は、リリースの記録と一緒に残しておきましょう。コンバージョン率が急上昇したように見えても、体験が改善されたのではなく、イベントの重複発火や定義の変更が原因かもしれません。数値をもとにプロダクトの仮説を立てる前に、イベントの導線をテストし、イベントの欠落や重複が結果に影響していないかを確認しましょう。
データの傾向を手がかりに調査を絞り込む
想定外の数値が出たときは、意味のあるオーディエンスやデバイスのグループに分解してみましょう。ただし、サンプルサイズが極端に小さいセグメントには注意が必要です。デスクトップのアクセスが大半を占める全体平均の中では、モバイル特有の問題が埋もれてしまうことがあります。クリックストリーム分析を活用すれば、問題が発生しているステップへの出入りなど、記録された行動経路を詳しく調べることができます。
明らかにしたい課題に合わせて、適切なリサーチを実施しましょう。ユーザビリティテストならページ内容が理解されているかを探れますし、絞り込んだアンケートなら来訪の目的を直接尋ねることができます。ただし、どちらの手法も、その要因がトラフィック全体でどれくらい頻繁に起きているかをそのまま証明できるわけではありません。
改善策を評価するときは、「見かけの数値の向上」と「その変更が改善をもたらしたという証拠」を区別して考えることが重要です。後者を裏付けるには、適切なA/Bテストが役立ちます。アナリティクスは測定データを提供してくれますが、その変化をどれだけ確信を持って説明できるかは、検証の設計次第です。
