インターセプト調査(声かけ調査)は、買い物を終えて店を出るとき、展示会を見学しているとき、ウェブサイトを閲覧しているとき、サービスを利用しているときなど、まさにその体験の最中にいる人々にアプローチする手法です。訪れたきっかけや目的の達成度、あるいはその瞬間の体験をどう感じたかを直接尋ねることができます。
この形式はプロダクト内アンケートと重なる部分もありますが、デジタルプロダクトの利用だけに留まりません。最大の特徴は、まさにその場に居合わせた接点を通じて協力者を募る点にあり、それゆえのメリットと限界の両方を持ち合わせています。
誰がアンケートに遭遇するかを設計する
ウェブサイトで表示されてから2分後に出るポップアップは、それより早く離脱した人を取りこぼします。店舗の出口で行うアンケートは、別の出入口を使ったり別の時間帯に来たりした人には届きません。サンプリングのプロセスとして、そうした条件をきちんと把握・明記しておく必要があります。
たとえば美術館での調査なら、網羅性を高めるために日程や時間帯、出入口を分散させて来館者を抽出します。どれほど多くの回答が集まったとしても、閑散とした日の午後にその場にいた人だけに声をかけるのでは、かなり限られた範囲の疑問しか解消できません。
ニールセン・ノーマン・グループのアンケートを活用すべきタイミングについての議論でも、訪問・利用中の情報を集める手段としてインターセプト調査が挙げられています。ただ、参加を呼びかける時点で対象はある程度絞り込まれており、回答に同意してくれた人と断った人との間には傾向の違いがあるかもしれません。
その瞬間に適した質問を投げかける
訪問直後のタイミングでは来訪の意図は探れますが、目的を達成できたかまではまだ聞けません。少し時間が経ってからであれば体験全体の感想を聞けますが、その時点で一部のユーザーがすでに離脱している可能性を考慮する必要があります。
質問票は短くまとめ、重要な操作や行動を邪魔しないように配慮しましょう。対面であれば声のかけ方を明確にし、気軽に断れるようにすること。オンラインであればスムーズに閉じられる設計にすること。どちらの場面であっても、インフォームドコンセントの取得と個人情報の適切な取り扱いは不可欠です。
偏りのないニュートラルな表現を心がけ、回答者自身が述べた目的と、その行動に対するリサーチャー側の解釈とを混同しないようにしてください。何も買わずに店を出た来訪者も、本人としてはまさに予定通りの目的を果たしただけかもしれないのです。
届いた範囲と抜け落ちた視点を明記する
回答率や対象条件の合致度だけでなく、いつ、どこで、どのように協力を求めたのかを記録しておきましょう。回答者以外の層にまで結果を一般化して推測する場合は、単に都合よく集めたデータを「全体の代表」として扱うのではなく、サンプリングや分析にあたってどのような前提を置いたのかを丁寧に説明する必要があります。
必要に応じて、得られた回答を行動ログや観察データと組み合わせてみてください。アクセス解析などの定量データだけでは曖昧だった瞬間をインターセプト調査が解き明かし、同時にその瞬間が一連の行動のどこに位置づくのかをデータが示してくれることがあります。両者を安易に「裏付けが取れた」と結論づけるのではなく、それぞれのデータが持つ限界を踏まえた上で解釈することが大切です。
