ドアの取っ手は、それを握れる人にとって「引く」という動作を可能にします。しかし、その人が「引くべきだ」と気づけるかどうかは、関連しつつも別の問題です。前者はアフォーダンスに関わり、後者はドアの仕組みを伝える手がかり(シグニファイア)に関わっています。
インターフェースデザインでは、そうした手がかりの意味で「アフォーダンス」という言葉が大まかに使われがちです。ドン・ノーマンによるアフォーダンスとデザインについての考察は、「可能なアクション」と「知覚されたアクション」を区別する上で役立ちます。この区別が重要なのは、操作自体が完璧に機能していたとしても、ユーザーがそれに気づくきっかけがなければ意味がないからです。
アクションとその合図を切り分けて考える
テーブルの1行をクリックすると、詳細レコードが開く仕様があるとします。背景のシェーディング、ラベル、ポインタの変化、シェブロンアイコンなどがそのアクションの合図になります。もしその行が静的なテキストに見えてしまえば、誰もクリックしようとしないかもしれません。逆に、すべての行が操作できるように見えるのに一部しか機能しないなら、その視覚的な合図は信頼を失ってしまいます。
ドラッグハンドルも同様に、どこをドラッグできるかを伝えますが、実際のインタラクションが意図した入力を受け付けなければ意味がありません。また、視覚的な手がかりがあるからといって、キーボードのみで操作している人にとっても利用可能であるとは限りません。そのためには、代替となるアクセシブルな操作手段が必要です。
だからこそ、この関係性にはユーザー自身やその利用状況が含まれるのです。ある人が操作し、知覚し、認識できるものは、別の人とは異なる場合があります。アクセシビリティは、デザインの見た目を後からレビューする段階だけでなく、アクションそのものを分析する段階から考慮すべきものです。
操作方法を教えずに「気づき」を観察する
参加者にそのアクションを必要とするゴールを与え、彼らがどう動くかを観察します。たとえばテーブルUIのテストなら、「その行をクリックしてください」と指示するのではなく、「見覚えのない請求内容の詳細を確認してください」と依頼します。
ファーストクリックテストはユーザーが最初に選ぶ操作先の検証に適しており、より網羅的なユーザビリティテストでは、アクションを完了できるか、そしてその結果を理解できているかまで確認できます。Ballparkのファーストクリックテスト機能は、前者のような焦点を絞った問いに最適です。
期待していた挙動についての質問は、可能な限りアクションを試みた後に尋ねるようにしましょう。インタラクションを事前に説明してから「分かりやすかったか」を聞いてしまうと、デザインそのものだけでなく、説明の上手さまで測定することになってしまいます。
操作後の結果も分かりやすく伝える
気づき(発見)はインタラクションの一部にすぎません。コントロールを操作した後、ユーザーには「何が起きたのか」、そして「間違いを取り消せるのか」を示すフィードバックが必要です。レコードを開く行であれば新しいコンテキストを明確に示すべきですし、元に戻せない操作には適切なセーフガードが欠かせません。
UIコントロールがうまく機能しないときは、その問題が「利用可能性(機能の有無)」「発見」「解釈」「フィードバック」のどこにあるのかを見極めましょう。そうした切り分けを行うことで、単にチームへ「もっとクリックできそうな見た目にしてほしい」と頼むよりも、はるかに的確で有意義な改善につながります。
