UMUX(Usability Metric for User Experience)は、主観的な使いやすさを測るための短いアンケートです。オリジナルの測定尺度は、7段階の同意スケールを用いた4つの項目で構成されています。派生版であるUMUX-Liteは、認知された機能性と使いやすさに焦点を当てた2項目版です。設問が少ないため、長いアンケートでは回答者の負担が大きすぎる場合に重宝しますが、バージョンやスコアの算出方法は明確に区別しておく必要があります。
設問数が少なくても、測定できるのはあくまで回答者自身の主観的な判断です。実際にタスクを完了できたか、操作の結果を理解していたか、あるいはアクセシビリティの課題に直面しなかったかを証明するものではありません。そうした点を把握するには、スコアと合わせて行動観察や利用状況のデータを確認する必要があります。
比較を計画する前にバージョンを決める
オリジナルのUMUXには肯定的な項目と否定的な項目の両方が含まれています。一方、UMUX-Liteは肯定的な2項目のみを残しているため、スコアリングで同様の反転処理は行いません。UX-Liteをはじめとするその後の派生版ではさらに変更が加えられているため、同じものとして扱わず、正確な名称で区別することが大切です。
MeasuringUによるUMUX-LiteからUX-Liteへの変遷についての解説では、バージョンや算出方法の選択がなぜ重要なのかが説明されています。既存の調査データと比較する場合は、過去の調査でどの文言、尺度、スコア変換が使われていたかをまず確認しましょう。
測定したい構成概念、回答者の負担、比較の必要性に応じて選んでください。システムユーザビリティスケール(SUS)は10項目あり、豊富なベンチマークデータが存在しますが、項目数が多いからといってUIの具体的な問題点を自動的に特定できるわけではありません。どちらの手法を使うにしても、行動観察や追加のヒアリングを組み合わせることで、より深いインサイトが得られます。
計算方法は測定手法とセットで管理する
1〜7で回答するオリジナルの4項目UMUXの場合、肯定的項目は「回答値 - 1」、否定的項目は「7 - 回答値」として計算します。その合計を24で割り、100を掛けることで、0〜100のスコアを算出します。
同じ7段階評価の肯定的な2項目を用いるUMUX-Liteの場合は、2項目の合計から2を引き、12で割って100を掛けることで線形変換します。計算の確認として、中間値である「4」が2つ並んだ場合はスコアが50になります。なお、このスコアは「使いやすいと答えたユーザーの割合(%)」ではない点に注意してください。
UMUX-LiteからSUSのスコアを推定するために、公表されている回帰式による調整が使われることもあります。MeasuringUの初期の解説ではその手法が紹介されていますが、その後の研究では別の手法や制限事項についても議論されています。変換された推定値は、実際に測定されたSUSスコアとは異なります。どのような変換を行ったのかを明記し、調整済みの結果と未調整の結果を断りなく混在させないようにしましょう。
調査の実施条件と合わせて変化を読み解く
対象となる体験の直後にアンケートを実施し、選択したバージョンで定められた文言と回答尺度を一貫して使用してください。経時変化をトラッキングすることが目的であれば、欠損値の扱い方を決めておき、対象者の抽出条件、実施のタイミング、タスクの文脈を揃えることが重要です。
サンプルサイズと適切な信頼区間を必ず併記しましょう。2つのスコア間のわずかな差は、プロダクトの改善によるものではなく、サンプリングの偏り、回答者層の違い、あるいは実施手順の変更によるブレを反映しているにすぎない場合があります。
スコアは、さらに深掘りすべき課題を見つける手がかりとして活用してください。機能性への評価が低かった場合、必要な機能がないのか、機能は見つからなかっただけなのか、それともユーザーのニーズと合っていなかったのかが考えられます。ユーザビリティテストやインタビューを組み合わせることでこれらの要因を切り分け、単なる数値やグレード以上の、実践に役立つ示唆を引き出すことができます。
