「これ、買いたいです」という言葉は心強く聞こえますが、調査セッションという環境は日常と比べものにならないほど好条件が揃っています。プロダクトが目の前にあり、十分な説明を受け、その瞬間に財布の中身を奪い合う競合商品も存在しません。購入意向(Purchase Intent)とは、そうした特殊な条件下で表明された意思を記録したものです。
一般的には、購入の可能性を尋ねる質問と、「絶対に購入する」から「絶対に購入しない」までの回答尺度を用いて測定されます。リサーチャーは、最も高い評価を選んだ割合や、上位2つの選択肢(トップ2ボックス)を合算した数値を報告することがあります。ただし、それらの数値を意味あるものにするには、選択肢のラベル、質問の言い回し、そして調査対象の定義がセットで示されていなければなりません。
想像上の購入を具体化する
オファー内容、価格、入手方法、利用期間を具体的に提示しましょう。サービスを「いつか」利用することと、来月「年間契約」で申し込むこととでは、まったく意味合いが異なります。イプソス(Ipsos)による購入意向の考察でも、そのカテゴリーに対する関与度が結果に及ぼす影響が強調されています。普段そのカテゴリーを滅多に購入しない層が多く含まれるサンプルと、日常的に購入している層を対象とした調査とでは、結果が大きく異なってきます。
だからといって、最も熱心な層だけを集めればよいというわけではありません。サンプルは、検証したい意思決定の内容に合わせる必要があります。幅広い市場機会を見極めることが目的なら、購入頻度が低い層を除外してしまうと、かえって実態を見誤ることになります。
たとえば、食事配達サービスの調査で高い購入意向が示されたとしても、それは「配送料無料」を参加者が勝手に前提にしていたから、というケースがあります。実際のサービスが配送料を別で請求するのであれば、その調査結果は別の提案に対するものになってしまいます。コンセプトテストでは、購入意向を解釈する前に、提案内容が正しく理解されているかを確認しておく必要があります。
購入意向は「ひとつの判断材料」として扱う
何がその提案を魅力的に感じさせたのか、何が購入をためらわせるのか、そして既存の何と置き換わるのかを問いかけてみてください。こうした掘り下げによって、総合スコアに隠れた前提条件が見えてきます。「サービス自体は気に入っているが、家族の同意が必要」「現在の契約サイクルの都合上、すぐの乗り換えは難しい」といった事情もあるはずです。
比較を行うなら、コンセプト、サンプル、調査条件が揃っている場合に限るべきです。関連性のない別々の調査間でスコアを比べても、提案そのものの差ではなく、測定手法の違いを反映しているにすぎない場合があります。そのカテゴリーや環境に適しているという裏付けもないまま、調査上の割合を一律の換算係数に当てはめて売上予測を立てるのは避けてください。
可能であれば、トライアルや実際の販売、追跡調査などを通じて、その後の行動を確かめましょう。実際の購入にも入手性や販促活動などの文脈が絡みますが、アンケートで置いた前提を検証する手立てにはなります。価格設定に迷いがあるなら、支払意欲(WTP)調査を取り入れるのも有益なアプローチです。
購入意向は、提案に対する初期反応を掴むのに役立ちます。価値あるレポートとは、その境界線をしっかりと保ち、人々が「何をする」と答えたのか、そして最終的な意思決定の段階で「何がまだ不確実なのか」を明確に伝えられるものです。
