ユーザーフローとは、プロダクト内でゴールを達成するために必要なステップと判断のプロセスを表したものです。ユーザーが何を行い、システムがどう応答し、どこで分岐が生じるかを示します。チームはこれを使って、実際に構築する前に体験の妥当性を検討したり、想定したルートと実際のユーザー行動を比較したりします。
役立つディテールは、ハッピーパスの外側にこそ隠れていることがよくあります。招待リンクの有効期限が切れている、すでにアカウントが存在している、あるいは途中で離脱して別のデバイスから戻ってくるといったケースです。そうした状況まで描き出すことで、見栄えの良い画面の並びを「完成されたインタラクション」と見誤るリスクを減らせます。
起点とゴールを設定する
たとえば、ご近所同士で工具を貸し借りする架空のサービスを考えてみましょう。「ドリルを借りる」というアクションは、検索から始まることもあれば、隣人から届いたリンクや、前日に送ったまま放置されていたリクエストから始まることもあります。そしてその終わりも、リクエストの送信時、持ち主の承諾時、あるいは受け取り方法の詳細が分かった時点かもしれません。全員が「どの成果を目指すフローなのか」を共通認識できるよう、フローには明確な境界線が必要です。
まずはユーザーの目的と、関連する開始時のコンディションから始めましょう。ユーザーがすでに知っている情報、ログイン状態、必要な権限や入力項目などを整理します。直前のステップが体験に大きく影響を与えるのであれば、チームがたまたまリデザインを担当している画面からいきなり描き始めるのは避けるべきです。
Nielsen Norman Groupによるユーザージャーニーとユーザーフローの比較では、特定のインタラクションにフォーカスしたものと、より広範な体験とが区別されています。ジャーニーマップは、ニーズの発生からやり取り、ドリルの受け取りや返却までをチャネル横断で捉えるものですが、ユーザーフローではその体験の中の特定のパートをより深く掘り下げることができます。
分岐とシステムの状態を可視化する
工具が利用可能か不可か、持ち主が承認したか拒否したか、借り手が必須情報を入力したか未入力かといった、意味のある分岐を可視化しましょう。ローディング、完了画面、エラー状態なども、それが次のアクションやユーザーの理解に影響を与えるならフローに含めます。
表現方法はシンプルなダイアグラムでも、小さな画面イメージをつないだワイヤーフローでも構いません。意思決定のポイントが明確に伝わるフォーマットを選んでください。ラベル付きのいくつかのステップで挙動が説明できるなら、凝った記法は不要です。より複雑なインタラクションなら、読みやすさを保つために個別のフローに分けてリンクさせるとよいでしょう。
実際に観察されたフローと、提案としてのフローは明確に区別します。タスク分析を行えば、インターフェース外の行動も含めた現状の業務や操作を把握できます。その上で、デザインフローを使ってプロダクトがそれをどう支援できるかの提案を描きます。両者の違いを明確にしておくことで、ただの仮説がいつの間にか「リサーチで裏付けられた事実」として扱われてしまうのを防げます。
実際のユーザーの動線を検証する
プロトタイプテストでは現実的なタスクを設定し、参加者がどのように進めるかを観察しましょう。意図しない回り道があったとしても、それは分かりにくいラベルや見落としていたニーズ、あるいは至極真っ当な別の選択肢を示している可能性があります。ダイアグラム通りのルートから外れたからといってすぐに失敗と決めつけず、まずはユーザーの目的と照らし合わせて評価してください。
プロダクトがリリースされた後は、行動分析を活用することで、より大規模にルートや離脱ポイントを検証できます。計測の設定や各イベントの定義も確認しましょう。リクエストフォームを開くことと送信することは別ですし、あとから戻ってくるのは必ずしも離脱を意味するわけではありません。そのパターンの背景を読み解くには、セッション録画の確認や追加のリサーチが必要になることもあります。
フローをプロダクトの最新状態と同期させる
設計上の決定事項が変わったらダイアグラムも更新し、それがどのバージョンに対応しているかを明記しておきましょう。新しい権限確認のステップやリカバリールートが抜けたフローは、デザイン、エンジニアリング、リサーチの各現場にそれぞれ異なる混乱を招く原因になります。
先ほどの貸し借りの例でいえば、成功とは単に「リクエストから確認までが一本道で綺麗につながっていること」ではありません。何が起きたのか、相手のアクション待ちの要素は何か、次に何ができるのかをユーザー自身が理解できている必要があります。フローが真に価値を発揮するのは、ユーザーが直面する前にチームがそうした依存関係に気づき、解消できるように導けたときです。
