一連のインタビューを終えると、チームには膨大な気づきと、いくつもの食い違う解釈が残されます。あるリサーチャーは信頼の問題だと捉え、別のリサーチャーはタイミングの課題だと考え、また別のリサーチャーは他の誰も記録していない細部にこだわり続けるかもしれません。親和図法(アフィニティマッピング)は、個々のメモを関係性に基づいてグループ分けすることで、そうした解釈を具体的に検証できる土台を作ってくれます。
アフィニティダイアグラミングとも呼ばれるこの手法は、リサーチ資料やアイデアを整理し、潜んでいるパターンを探るのに役立ちます。リサーチの統合プロセスにおいては、メモと元の情報源とのつながりを保ち続けることが重要です。ここでのグループ分けはあくまで分析の補助ツールであり、多くの人が同じ見出しに同意したからといって、その見解が事実として裏付けられるわけではありません。
グループ分けの前に、メモの内容を分かりやすく整える
実用的なメモには、具体的な観察結果と、それを理解するための十分なコンテキストが含まれています。単に「プライバシーへの懸念」と書かれていても評価が難しいですが、「参加者4はパートナーと端末を共有しているため、連絡先へのアクセスを拒否した」とあれば、行動、理由、そして後から確認すべき情報源がチーム全員に明確に伝わります。
性質の異なる情報は明確に区別できるようにしておきましょう。発言の引用、観察された行動、リサーチャーの解釈、提案された解決策はいずれも有益ですが、ラベルなしで混ぜてしまうと、単なる推測が参加者の生の声のように見えてしまいます。不要な個人情報ではなく参加者IDを使い、適切にアクセスできる範囲で元のセッションへのリンクを残しておきましょう。
Nielsen Norman Groupのアフィニティダイアグラミングに関するガイドでは、関連する情報をグループ化し、できたクラスターに名前をつける手順が解説されています。この手法は共同での分析・統合を強力に後押ししますが、グループ化によってどれだけ本質的な意味を残せるかは、メモ自体の質にかかっています。
グループ分けを通じて、あえて見解の相違を浮き彫りにする
まずはメモを読み込んで配置することから始め、その後に参加者それぞれが見出した関係性について議論します。最初に各自でじっくり考える時間を設けることで、発言を控きがちなメンバーも、議論が一つの解釈に集約されてしまう前に自分の視点を固めることができます。
複数の場所に当てはまるメモもあれば、どのカテゴリにもすんなり収まらないメモも出てきます。無理にすっきりとまとめようとせず、そうしたメモも見える状態にしておきましょう。例えば共有カレンダーに関する架空の調査で、「予定を非表示にする」というメモがあったとします。これはプライバシーに関わる問題であると同時に、通知の制御に関する問題でもあるかもしれません。これをどちらか一方だけに当てはめてしまうと、デザインのアプローチを早い段階で狭めてしまう恐れがあります。
グループのラベルづけは、証拠に裏打ちされた適切な粒度で行いましょう。「通知」といったトピック名は、中間的なカテゴリとして役立つかもしれません。一方で「プライベートなリマインダーと共有イベントを分ける必要がある」といったインサイトを導き出すには、メモやその元の文脈に裏付けられた、一段深い解釈のステップが必要です。すべてのクラスターを安易に結論めいた言葉でまとめてしまうと、本来まだ詰めるべき検討事項が見えなくなってしまいます。
導き出したパターンを元の情報と照らし合わせる
数値を気にする場面では、付箋の枚数ではなく「情報源の数」を数えましょう。10枚のメモがあっても、それは単に1人の多弁な参加者の発言かもしれませんし、あるリサーチャーが他の人より細かく記録しただけかもしれません。クラスターの大きさや獲得した投票数だけで、ターゲット層全体での代表性を測ることはできません。
矛盾する事例に立ち返り、提案された解釈が依然として成立するかを確かめましょう。グループの内容をそのまま推奨事項へと昇華させる前に、メモの記述とインタビュー全体や観察記録を必ず照らし合わせます。データセット全体をより体系的に読み解きたい場合は、ワークショップをプロセス全体の代わりとして済ませるのではなく、テーマ分析(Thematic Analysis)の手法を取り入れることも検討してみてください。
マッピングのゴールは、根拠のある解釈と、未解決の問い、そして元の証拠へと立ち返るルートをチームに残すことです。のちにその理解を伝える手段として、共感マップやジャーニーマップが役立つこともありますが、次に選ぶべきフォーマットは「何を説明する必要があるか」によって決めるべきであり、単に「別のボードを作りたいから」という理由で選ぶべきではありません。
